プロトアーサーをVRChatから奪還する(完了)
MMDコミュニティとの軋轢の問題
一応RTして頂けると嬉しいです。
— 切な顔P真面目に作業する (@stngP) July 31, 2018
本当にちょこちょこ報告来るんですが、VRChatでのキャラクターモデル利用は禁止です〜。
マジでかつてないレベルで規約違反報告来るんですけど。
何度も持ち上がりますね。
VRChatが嫌われている事実は単純に悲しいですが、著作権の問題とは明確に別問題です。その当たりがクリーンにならないかぎりは今後もこのようなことで軋轢を生む事例は増えていくと思います。
根本的問題点
MMDの作者の立場に立って考えてみれば、最大の問題点はVRChatが外部からのアクセスが困難なことにあります。
自分の著作権を侵害するような行為が行われている事実を知ったとしても、VRChatのアカウントを持っていなければそれを確認することはほぼ不可能ですし。仮にアカウントを持っていたとしても、VRChatの構造上確認は大変困難です。
仮にインターネット上ならば違反行為が行われている現場としてURLをおさえればいいですがVRChatではそうはいかないわけです。
ここまで考えればVRChatがやり玉に挙がりやすい理由がはっきりします。
闇雲に目の敵にされているわけではなく、このアクセスの悪さが問題視されているのです。
これに直接的解決策があるかというと、正直ないというのが結論です。
草の根活動的になりますが、現状、違反に当たる行動を一つずつ報告していくことがいちVRChatユーザーとしてできる精一杯の行動になりそうです。
切な顔Pのアバターはどうなっているのか?
ちなみに最もVRChat違反報告されているモデルはプロトセイバーモデルです。
— 切な顔P真面目に作業する (@stngP) July 31, 2018
プロトセイバー皮にできる現存する人間っているの?????????????????????????????????????
プロトセイバーと聞いてピンと来ました。心当たりがあります。
そう、私が考えたのはAvater World(アバターのレンタル施設)の摘発です。
VRChatユーザーのほとんどはVRC SDK*1を導入していません。これは世界的に見たときの話です。高い割合で導入している日本のユーザーが異常なだけです。大多数の海外のユーザーはアバターアップロードを利用せずにアバターワールドを利用することでアバターを切り替えています。
となれば、このプロトセイバーモデルが著作者の意に反して利用されている案件の大部分は、Avater Worldを違反報告すれば解消されるはずと考えられます。
まず切な顔Pのプロトアーサーのモデルを確認。
恐らく間違いありません。Fateのアバターワールドでみたことがあります。
さっそく直接確認してみます。
確認してみたところ、画像では分かりにくいですが、該当3Dモデルであるところのプロトアーサーが消えていました。
これは一安心。
切な顔Pに対する違反報告の際にVRChat運営にも通報した人が居たのでしょう、通報に一定の効果があると見込めるかも知れません。
と、ほっと胸をなで下ろしていたのですが、*2
まさにその瞬間、プロトアーサーのモデルが私の隣を通り過ぎていったんです。
精一杯のカタコトの英語でどこからアバターを手に入れたのか聞いてみましたが通じなかったのか英語話者じゃなかったのか、居なくなってしまいました。
そこで自力で歩き回ってみたところ、見つかりにくい形で隠し部屋への通路が設置されているのを発見しました。
消された訳ではなかったんですね。
ご丁寧にもクレジットに記載してくれているので同定の手間も省けました。
アバターとしての見た目はこのようになっています。
助けてGoogle先生
問題が一つ、私の語学力の低さです。VRChat運営に対して正確な状況報告と、要求を伝えることができるか分かりません。
Google翻訳を使って、簡単な文節を意識して文章を作ってみます。
VRChat運営への問い合わせ方法を知らなかったので、VRChatのDiscordを確認してみました。
Discord上でのそのような報告は受け付けておらず、メールでの問い合わせのみとなっているようです。
------------------ (以下8月2日追記)------------------
VRChat運営から返信でダメだし(二回)
1時間後、運営からメールが届きました。メールの送信先が誤っていたようです。「feedback@vrchat.net」は総合窓口であり、著作権関係の問い合わせは「copyright@vrchat.com」だそうです。
しかし、このスピード感は好感触です。それも現在10時。アメリカ現地時間を推定すると、あちらは夜です。定時過ぎてませんか?
このときちょっと寝ぼけて居たため、返信内容をよく読まずに同じ文面を「copyright@vrchat.com」に送信してしまいました。
すると2時間後に再び返信が届きました。(日本時間14時)
定められた書式があったようです。本当は一回目の返信に記載されていたURL「https://vrchat.com/legal」のページを熟読すればよかったのですが、わざわざわかりやすく要点をまとめて返信してくれました。
対応の丁寧さも、スピード感も好感触です。というか、あちらはそろそろ夜中です。いつ寝ているんでしょうか?
すでに作成済みのメールの内容を書式に揃えるのは簡単そうです。ただし要点として、私が切な顔Pに承認された代理人である必要があるようです。
嘘をつくのは最悪偽証罪に問われますので、ここで切な顔Pにコンタクトを取ることにしました。
ツイッター上で切な顔Pへリプライを送る
初めまして。拝見いたしましたが、仕事中の流し読みのため申し訳ありません、お返事お待ち頂いてもよろしいでしょうか?
— 切な顔P真面目に作業する (@stngP) August 1, 2018
( 中略)
ありがとうございます。
— 切な顔P真面目に作業する (@stngP) August 1, 2018
2点質問させてください。
1.これを行う事によって、ふわふわのクラゲさんへ何か不都合や不具合が起こる事はありますでしょうか。
2.VRChat内における頒布権の委任という認識でよろしいでしょうか。
お手数おかけしますがご教授願います。
お忙しい所、丁寧なお返事ありがとうございます。委細承知いたしました。以前通報した際に、私が非常に手間のかかったのが確かに証拠の提示でした。また、確かにおっしゃる通り証拠について協力をお願いする方が、お互いにとって煩雑になる事も想像がつきます。
— 切な顔P真面目に作業する (@stngP) August 1, 2018
どうかんがえても暇人な私に対しての嫌味かと思いましたが(ジョークです)、丁寧な回答を頂きました。(ツイートが削除されない限り、リンク先から以降に続く3つのリプライを参照できます。)
正式な代理人としてメール送信
DM上でメールの内容の打ち合わせをし、(本来は必要ありませんが、私も初めての体験だったので相談が必要でした)再度VRChat運営へメールを送信しました。(8月2日9時)
上の画像が送信したメール内容になります。
お気づきでしょうか。日本語です。
第4項目は誓約文面を丸コピせよという内容なので丸コピしましたが、その他の部分は基本的に日本語で書きました。これでもいけるはずという考えと、一度没になったとしてもどの程度まで内容を詰めれば通るのかの検証をする狙いがありました。
結果的にはこれで通ってしまいました。
該当アバターワールドの消滅を確認
仕事が終わって16時頃、VRChatのサイトにログインして該当アバターワールドを検索しました。午前中に検索したときは表示されていた該当アバターワールドの表示が消えていました。
アバターワールドの作者のほうは検索上では相変わらず表示されていたので、BANまでは行かなかったようです。(ユーザーがBANされたときの表示を知らないのでなんとも言えませんが)著作権侵害は1度目までは「著作権侵害の事実を知らなかった」として罪に問えず、警告を無視したり、繰り返した場合にはじめて悪意を立証できる関係上、仕方の無いことかも知れません。しかし彼はこれでイエローカードです。(プロトアーサーに関して)
はじめて著作権侵害の申し立てをやってみて
VRChat運営の対応はとても速やかで、誠実さを感じました。これが個人に対する申し立ての場合にどう変わってくるかなど未知数な面もまだ残っていますが、良い運営だと思います。
今回は本来ありえない、「VRChatユーザーから提案し、MMD作者に協力を仰ぐ」という形だったため、連絡で手間取る部分はありましたが、正常な手順で物事が進むとすれば、運営へのメールの書式は簡素で、かつ日本語での記述でもよいため、とても楽だと感じました。
今回得られたノウハウは、そのままVRChatユーザーである私の財産になります。私もつたないながらもアバターを自作するので、万が一にも著作権侵害の被害を受ける張本人になる可能性があります。また、私の友人が困っているときも、手助けができそうです。
もちろんMMD作者の方にとっても、興味深いモデルケースになったのではないでしょうか。VRChatユーザーの友人(あるいは知人ずて、公募など)が居ればその方に協力を仰いでみるととてもスムーズに事が運びそうです。
8月5日追記
今回のケースで得られたノウハウを、この記事のようなストーリー仕立てでは無く要点をまとめた記事としてまとめました。
【VRChat紹介#5】VRChatの声
VRChatで飛び交う声
VRChatはボイスチャットアプリだと紹介しましたが、実際に行われているコミュニケーションは口頭での会話に限らず様々です。
今回はいくつかのスタイルを紹介していきます。
マイクミュート
一般的には無言勢と呼ばれるタイプです。何らかの都合でマイクを使いたくない人がVRChatを遊ぶときにこのスタイルを選ぶようです。
マイクを使えないとコミュニケーション上では大きな制約を受けることにはなりますが、デスクトップモードでも肯定と否定ていどなら首振りで表現できますし、VR環境がある場合はハンドジェスチャも加わります。アバターカスタマイズができるなら、Snail markerをはじめとするペン状のツールをアバターに実装すれば筆談によるコミュニケーションも可能です。
Publicではおなじみの落ち武者の人。最近Snail markerを導入した。
合成音声の利用
Voiceloidの出力音声をマイクデバイスにバイパスすることで、キーボードによる文字入力で会話をする人、さらに「ゆかりねっと」の音声認識ソフトをバイパスさせることで自分の肉声の代わりにVoiceloidに声を出させる人がいます。
前者はマイクミュートと同じく声を出しにくい環境にいる人、後者は肉声を使いたくない、あるいはキャラクターに深くなりきる目的と想像できます。
問題点としては会話するときにテキスト入力なら入力時間分だけ、ゆかりねっとの場合は変換処理の時間だけのタイムラグが発生することです。
ボイスチェンジャーの利用
各種ボイスチェンジャーのアプリを利用して、男性が女性の声をだしたり、わざと合成音声らしくしてアンドロイドがしゃべっているように表現している人がいます。
これは明確にキャラクターに対するなりきり目的出あることがほとんどです。
ただ、これは特殊な例ですが、女性がその肉声をごまかす目的で利用するパターンもあります。現状VRChatのユーザーの男女比は恐らく100:1くらい。正直女性がまともに遊べる環境ではありません。意識しているにしろしていないにしろ、女性的な役割を期待されすぎてしまう側面があります。なので、そこをごまかす用途としてのボイスチェンジャーは一つの答えになります。本来は性別をごまかす必要が無いのが理想ですが、当面の妥協案ですね。
マイクミュートでもアバターにつけたエフェクトをパフォーマンスとして披露することに重点を置いている人もいますし、これらは本当に人それぞれです。
VRChatは無料のアプリなので、とりあえずログインしてみて、様々なプレイスタイルを観察してみて自分と合うものを採用するというのも良いかもしれません。
ヒューマノイドボーン怪しい伝説#1【VRChat技術情報】
VRChatでは肩のボーンは動かない!?
ヘイみんな!今日も元気にウェイトペイントしてる?????
というわけでね、今日から始まった新コーナー。
ヒューマノイドボーンにまつわる怪しい噂を徹底検証する、題して
見出しにあったとおり、今日のテーマはズバリ、
『VRChatでは肩のボーンは動かない!?』
です。
最近パブリックで過ごしてるとそんな噂を小耳に挟むことが多くなりました。
私は普通に肩のボーンにウェイト塗っているので、「そんなことはないはずだけど?」と寝耳に水の情報でしたが、正直肩のボーンは動いても少ししか動かないので通常のアバターじゃ動いてるのか動いてないのかわからない!
というわけで、作りましたよアーマチュアのアバター。ボーンのロールも確認できるように面によって色分けもされてます。
当初は一気に色んな噂を一網打尽にしようと思ったのですが、今日だけでもまた新しい噂を聞いたんですよ。どうやらボーンにまつわる怪しい噂は日々生み出されているようなのです。ですから、この記事は連載形式ということで、一つずつそれらの噂を検証したいと思います。
環境は「VRChat 2018.2.2」、VR環境はViveの標準およびフルトラッキングです。
まずはViveの標準環境(ViveHMD&コントローラー2機)
動いた!
グリングリン動いてるし、また別の説で言われていたのですが、「手に対して変な追従の仕方をするので切った方がマシ」といわれるような妙な動きはしていません。
しかし、一応フルトラッキングもありますので、とりあえずそちらも確認しましょう。
フルトラッキング(ViveHMD&コントローラー2機&トラッカー3機)
動くよ~~~!
同様に妙な挙動は認められませんでした。
というわけで、今回の噂、
『VRChatでは肩のボーンは動かない!?』
ですが、
BUSTED(嘘)
ということで結論づけられました。
ただし、
「Oculus環境だと肩のボーンは動かない」という説もあり、私の環境ではこの検証は不可能でした。
実際は、Oculus環境だと肩のボーンは動かないと言うのが真の情報であり、それに尾ひれがついた結果、「VRChatでは肩のボーンは動かない」まで話が大きくなったというところが私の予想です。
Oculus環境で詳しい方情報よろしくお願いいたします。あるいはOculus環境で実験に協力してくれる方がいらっしゃったら、このアバターを貸与いたしますので、ご連絡ください。
Oculus環境でも肩のボーン動くようです。何かの勘違いが原因のようですね。
怪しい伝説募集中!
当コーナーでは引き続きヒューマノイドボーンにまつわる怪しい噂を調査していきますが、検証して欲しい噂や疑問に思ったことがあればコメント欄やリプライで教えてください。
はじめての交流会【改変Unity交流会レポート】
改変Unity交流会に行ってきた
集合写真。ノーマルユニティちゃん10体、キャンディロックスター7体、SDユニティちゃん7体、浴衣ユニティちゃん2体、バトルコスユニティちゃん1体、ミコユニティちゃん1体、Unity1体、ウガンダ1体という比率。
普段、多そうで少ないユニティちゃんのアバターが一堂に会しました。
自分のアイデンティティは唯一頭のウガンダナックルズ。最初にアップロードしたマイアバターで、フルスクラッチが完成するまではこのSDユニティちゃんをいじって、Unityとの親睦を深めていました。
3Dモデルのユニティちゃん全般に言える特徴としては、オープンソースであることです。規約に則って利用する限り、改変や商用作品への転用など一切自由となっています。*1
一般的なフリー配布の3Dモデルと比べると、オープンソースというインターネット上では馴染みある様式の配布形式なので、やって良いことと悪いことが明確で安心感があります。
フリー配布のモデルと言うことで、利用しているユーザーの傾向としてはモデリングは苦手だったり手を出していない反面、Unity上でのエフェクトの実装で個性を表現することに重きを置いている人が多いところでしょうか。著作権関係への意識が高めの傾向もあります、だからこそユニティちゃんを使っているというわけですね。
どっちを向いてもユニティちゃん。区別は・・・あんまりつかない。
改変ユニティちゃん交流会内改変SDユニティちゃん交流会
インスタンスに迷い込んだノーマルユニティちゃんを囲むひとたち。部屋のほぼ全員が一斉に集結した。
初めての交流会ということでどんな感じかなと思っていたんですが、案外いつものパブリックと変わりませんね。
普段パブリックで暮らしているので、ほとんど既にフレンド登録済みだったのもあります。しかし、初心者がフレンドを作るきっかけとしては良さそうですし、恐らく普段はプライベートにいるためにフレンド登録していない人たちもちらほらいたのでその点はよかったです。
交わされていた話題としてはほとんどノンジャンル。改変の部分について観察しあったり、フルトラうらやましいなあだとか、ここが上手くいかないのだとか。ここもわりと普段のパブリックと似ていました。ここは技術交流会だとか、初心者交流会だとか、目的が明確な交流会とは違った雰囲気かもしれません。
普段のパブリックと同じと連呼しているとマイナスな書き方と思われるかもしれませんが、普段パブリック、というよりファンタジー集会所でくすぶっている身としては、同じようなノリで普段とはすこしだけ違う空気に触れられるというのは丁度良いあんばいで有り難かったです。
改変ユニティちゃん交流会、次回はあるのか
主催者のやぶいぬグリーンさん。改変ユニティちゃんの所持点数はおそらくトップクラスだろう人。色んなバリエーション、色んな効果を実装した改変ユニティちゃんをアップロードしている。
主催者のやぶいぬグリーンさんによると、今回の日曜日21時からという日程を確保できたのはとてもまれなことらしく、次回以降やれるかどうかは分からないというのが実情なようです。
なので、他に有志の方がいたらぜひ引き継いで改変ユニティちゃん交流会を開いて欲しいと仰っていました。
*1:厳密にはライセンス表記が必要なのですが、VRCにそのような表記をするスペースが確保されていないのでやりにくいという問題はあります。私もサボっていますが、ライセンス表記の本質としては著作者を偽らないことだと思うので、偽ったり一般配布したとき著作者不明な状態にしなければきっと怒られないと考えて使っています。
Cubed's Unity Shadersの障害について【VRChat技術情報】
意図しない視界ハックが発生するバグ
Cubed's Unity Shaders v0.24のFlat Lit Toon Lite Double sidedシェーダーにおいて、その影響範囲にいる全ユーザーに対して視界の中央にカゲのようなものが映り込む現象が発生しています。
Flat Lit Toon Lite Double sidedを利用しているアバターの影響で画面にカゲが映り込んでいる状態。ここに居合わせているユーザー全員に同じ症状が発生している。
発生するワールドは多くありませんが、ワールドの設定によっては自身はもちろん周囲のユーザーにも悪影響を与えてしまうので注意が必要です。
Unityの画面だとここで選べるシェーダー。本来は裏面もテクスチャで描画する設定のシェーダーだが、意図しない描画が発生する可能性がある。
対処方法
一週間前にリリースされたCubed's Unity Shaders v0.25では、この問題に対処した関係か、Flat Lit Toon Lite Double sidedが削除されています。配布サイトで最新版をダウンロードし、古いものと置き換えましょう。
Flat Lit Toon Lite Double sidedと同様に裏面の描画をしたい場合は、Flat Lit ToonでOutline ModeでNone以外を選択、Widthを0にすることで対応できます。
本来アウトラインを表示するモードだが、副次的に裏面の描画もされるようになる。Widthを0にすればアウトラインが表示されなくなる。
Boothで3Dモデルを売ってみた【VRChatトレンド情報】
3Dモデル販売めっちゃ流行ってるけどどうなんだろ?
最近VRChatに関連して、3Dモデルの販売事例が急速に増加しています。
そのカウンターとして、「規約がガバガバ」だとか、「クリエイティブコモンズに関する認識」などをつつくような言説も飛び交っており、傍から見ていると「うーん、結局どうなの?」という戸惑いを感じるかも知れません。
私もこのような分野に関しては全く門外漢なので、正直分からないことがほとんどというのが正直な感想です。
そこで、試しに3Dモデルを売ってみることにしました。
本記事では、実際に3Dモデルを販売するまでの流れを通して分かったことを紹介していきます。
販売用のモデルデータを用意する
モデルを自作する人からすればとても意外なことかも知れませんが、ワンポイントのアクセサリーのようなごく簡素なモデルデータでも、「お金出してでも良いからそれそのまま欲しい」という人がいます。
それが円筒少しいじっただけのタバコのモデルデータでもです。
創作に興味が無い人からすれば、そんな大したことない3Dモデルだからこそ、そのためだけにモデリングソフトの使用方法を学ぶなどのコストを支払いたくないというのが心情かもしれません。
まあ実際に売れるのかは分かりませんが、題材としてはこれでいいでしょう。
円筒をグニャグニャっとしてテクスチャを描いただけのタバコの3Dモデル。自分のアバターに利用する際はラッキーストライクのロゴを印字して使っていたが、商品化に際して一応削除した。
今回はこれを品物として出品することにします。
販売用データのディレクトリ構成はこんな感じ
VRChatのアバターに利用するときと同じように、fbxファイルとテクスチャファイルを用意。普段と違うのは、少しでも導入しやすいようunityパッケージファイルを作った所です。インポートの手間はさほど変わらないですが、こちらでシェーダーの設定とか指定できるので、ユーザーに多少なりともラクをさせることができます。
Blenderファイルを同梱するか迷ったのですが、フレンドのアドバイスでやめました。
同梱するファイルの種類が増えれば増えるほど、こちらからサポートしないとならない可能性/リスクが増大することになるので、不要なリスクは取るべきではないというわけです。
やたらつつかれ揶揄されてる利用規約について
さて上の画像にあるとおり、readme.txtに利用規約とか書いとかないとなりません。
「ハードディスクを占有するだけのゴミを売ることになる」だとかやたら不安を煽る言説はありますが、実際の所、利用規約、というか著作権についての記述は自由に書いて良いと思います。自身の著作物は自身が自由にしてよいというのが著作権の原則なので、あなたが想定している利用のされ方や、されたら嫌なことを羅列すればOKです。
わかりやすく平たい文章で書く必要はありますが、こう書いてはならないなんてことは著作者でない外野が決めて良いことではありません。
著作物の利用には著作者の意思を尊重しなくてはならないというのが著作権法なので、ユーザー(ここではあなたの3Dモデルを購入した人)が著作権法に則って行動するための指標として、著作者の意向を詳細に伝える必要があるというだけです。
極端な話、「VRChatへのアップロードは良いけどニコ動のMMD動画にすることだけは許さん」みたいなことでも問題ないわけです。
しかし私は特にこの3Dモデルに特別な思い入れはありませんし、限りなく自由に使っていただきたいので、自由にやっていいよと書いておくことにします。*1
あとはお決まりですが、「本モデルを利用したことによって生じるいかなる損害に対して当方は一切責任を負いません」は書いておきますか。予防線ですね。
どこで売るか?
販売用データはできたので、これをどこで売るかという問題です。通販用サイトを比較しようかと思ったのですが、Pixivが運営するBoothの条件を見て、比較検証する気が失せました。
好条件過ぎます。
いやいや世の中そんなおいしい話があるはずないと、「実質」固定費無料みたいな話であるはずだと確認してみましたが、特に問題は無し。
通販サイトで販売経験があったので、このロイヤリティと固定費無料というのはカルチャーショックを受けてしまいました。
というわけで、販売サイトはBoothで決定です。
Booth開店作業
どこまで不安を煽ってくるのか。
知ってる、こうやってお手軽感を全面に打ち出して迷える子羊みたいな人々をつぎつぎ絡め取っていくつもりでしょう。こわいです。
しかしまあ、そういうのを含めての検証として実際に売ってみようという記事なので、
一応規約にはよく目を通した上で開店作業に入ります。
終わりました。10分かからないじゃないですか。
通販サイトで仮アカウント作るくらいの入力項目だけで、仮出店状態になってしまいました。公開ボタンを押すだけで出店できる状態です。審査とかないんですね。
この状態だと振込先金融機関などは未入力なので、そこを入力しておきます。
送料設定はデータ販売なので特にいじりませんでした。
オーナー情報で個人情報を入力する必要がありますが、基本的にはこのオーナー情報は一般開示されない設定です。トラブルが発生した際に、ユーザーから問い合わせで開示請求があった場合に自身で対応する必要があるだけです。
特定商取引法に基づく表記のページのデフォルト設定。特に編集の必要は感じなかった
公式FAQにも記述がありましたが、現状売上0円なので、私はまだ販売事業者ではないという扱いになります。月100万以上、年1000万以上売り上げた場合にはサイト上に名前を記載しないとならないというわけですね。100万円もらえるなら名前くらい公開しますよ私は。
これが嫌だという場合は、売上が規定額に達してしまう前に出店を停止する作業が必要になりますね。
商品ページの作成
商品画像は多いに越したことはないので、参考になりそうな物をポイポイと放り込んでみました。
販売用説明文は段落という形で区切りをつけて項目の追加ができるので、readmeに記載した文章を追加しておきました。
買う前に規約の全文を示して、合意の上での売り買いの方がよりフェアかな?と思ったからです。しかし内容的には何やってもイイヨという文章なので、読む価値はあまりありません。
さて残るは価格設定で終わりです。
一箱460円のタバコですから、一本あたり23円ってことになりますね。
あっ・・・。
仕方ないので最低金額の100円に指定しました。
もはや商品タイトルが原形とどめていない・・・。
でも一応ラッキーストライクがモデルですよという婉曲表現だから!そういうことにしておきましょう。
これにて出店、出品処理が完了しました。1時間くらいで終わってしまいました。記事に使う素材の撮影がなければもっと早かったと思います。
このあとどうなるか
と言うわけで今回実際に3Dモデル販売までの流れを実演という形でさらってみたのですが、問題はこの後ですね。私も実物がないデータの販売は初めてなので、どのような客層を相手にすることになるのか、どのようなサポートを要求されたりするのか、等は未知の部分です。
これからこの一箱2000円のやたら高いタバコが売れることがあるかは謎ですが、何か面白いことが分かったら、また新しく記事を書こうと思います。
景気づけに一本買ってみようという奇特な方がいらっしゃいましたら、ぜひよろしくお願いします。
*1:販売ページに規約文は載せておいたのでそちらを参照してください。参考にして転用してもOKです