VRChatパブリックログ

VRChatでの体験を紹介します

【VRChat紹介#4】VRChatは創作系SNSです

VRChat:3Dモデリング創作系SNS

これは自作アバター勢の私の主観です。
あくまでも私個人の利用スタイルを通してVRChatを再解釈した場合の話なので、それ以外のスタイルを否定する意図を持った記事ではありません。
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VRChat、特に日本ユーザーのなかでは自作アバター勢(ここではカスタマイズも含み、広い解釈ではアップロード機能を利用している全ユーザーを指す)はそこそこのボリュームをしめており、VRChatで展開される話題の種類として、アバターカスタマイズやモデリングについての表現技法を含む技術的なテーマは定番の一つです。

このような話題をメインでVRChatを利用していると、これは創作系SNSの性格が強いのかも知れないなと思うようになりました。

VRChatは創作系SNSですとは言いませんが(タイトルでは大きく出といたけれど)、ほとんどそのように機能する面もあります。

今回は創作系SNSとして見たときのVRChatを紹介してみます。

Pixivと比較してみよう

創作系SNSの筆頭としてはPixivが有名です。Pixivの機能とVRChatを比べてみるとどうでしょうか。

Pixivは絵(や小説)を展示でき、閲覧者はそれに点数をつけたり、コメントで感想を送ることができます。丁寧な人はプロフィールに使用しているアプリやガジェットを書いていたり、描き方講座のようなものをアップロードする人もいます。

VRChatはログインして自作アバターを着ればそれで周囲の人に対して発表できます。鑑賞する立場としては、作品がそこら中を歩いているし、作者はその作品を着ているので生の声としての感想を送ることが出来ます。親切な人ならば、表現技法や実装に関する技術についての質問にも答えてくれます。

どうでしょう。ほとんど同じ機能ではありませんか?

Pixivと比べるとVRChatは同時にオンラインでないと作品を見ることが出来ない(ワールドやレンタルアバターを除く)のが弱点ですが、作者と閲覧者が密接にやりとりをすることが出来るという強みもあります。またPixivには作品のクオリティによるヒエラルキーというか、強弱関係が確固として存在し、クオリティの低い作品はサムネイルの時点で切られてしまうために見てもらえないし、反応ももらえない難しさがありますが、VRChatは目の前に歩いて行けば強制的に見せつけることが出来ますし、こちらから話しかけて作品の感想を聞くことだってできます。

勿論ハイクオリティなアバターは注目を集めますし感想もたくさんもらえますが、技術を持たない表現者にも十分なチャンスが与えられているという点を考えると、創作系SNSとしてPixivより素晴らしい環境と捉えることもできるのではないでしょうか。

3Dモデルという題材の強み

Pixivは絵(がメイン)の創作系SNSですが、音楽の創作系SNS(公式にSNSとは表現されてないが)Soundcloudと比べて交流が盛んです。SNSのしくみと題材がマッチしているかというのはポイントになるでしょう。

絵と比較した場合、3Dモデルも創作物であることには変わりませんが、キャラクターデザイン、3Dモデリング、テクスチャ、シェーダー、ゲームへの実装など、様々な技術がオーバーラップした分野で、アプローチは様々あるものの、それぞれに最適解が明確に存在します。

絵の技術について聞かれたところで、使用するツールの小技のようなものを除けば、「デッサンあるのみ」と答えるしか無い場合が多いのでは無いでしょうか。しかし3Dモデルなら、一つの疑問に対して様々な視点、アプローチから表現方法やテクニックを具体的に提案することは容易です。

ですからアバター感想戦や情報交換ではなかなか話題が尽きないのです。

これは大きな強みだと思います。

VRChatのモデラーは上達が早い

VRChat界隈でモデリングの上達が皆早いと良く言われています。私もそのように感じます。この理由はいくつか思い当たります。

工学的な3Dモデリング

3Dモデルという題材の、工学的な性格が強いことがまず作用しています。

上で述べたように、3Dモデルには最適解が存在します。アプローチを決めた時点で、たどるべき工程がほとんど決まっていきます。初めてのモデリングではそれを知らずに闇雲に行うためにいびつな部分が粗となって現れますが、正しい工程を知ればより短時間で整然とした面が張れるようになっていきます。

これは作っている本人が一番強く感じられるので、それがまた励みになりモチベーションを高く保ちやすくなります。

表現というのは自分の審美眼がクオリティの限界、弱点として現れます。しかし3Dモデリングではそれを道具を用いて補助する手段が豊富にあります。

人体のスケッチができないならネットから人体の三角図を拾ってくる。肌の曲面を表現するのが苦手ならトゥーンシェーダーを利用して平面的な絵にすることで凹凸を隠す。素体ジェネレーターを利用する。など様々です。

自分の弱点を把握して、それを補助できるツールを知る。つまり能力の体得ではなく知識の収集によってのみでも次のステップに進むことができるのです。

VRChatの刺激的な環境

VRChatにログインしていれば、常に他人の作品に触れることになります。よりクオリティが高いもの、自分が思い至らなかったアプローチ、効果的なテクニック、それらがそこら辺を闊歩しています。

あのファッションかわいい。あれはどうなっているんだろう?あれを自分のアバターにも取り入れてみたい。新しい創作へのとっかかりが次々と浮かんできます。

すぐにBlenderやUnityを開いて、それを実践してみたい気持ちに駆られます。

モデリングが完成したり行き詰まったらVRChatを起動して新しいアイデアや表現に触れる。創作で理想的なサイクルが出来上がります。

作品と作者がつねに一体となっている

Pixivで素晴らしい絵を見つけたとして、コメントしたとしても作者はまずモニターの前にいないか別のことをしています。質問したいことがあったとしても、その返答がいつ帰ってくるかはわかりません。そもそもPixivをこういうスタンスで利用しませんしね。

VRChatは違います。素晴らしいモデルが歩いていたとして、操作しているのは作者で間違いありません。(レンタルアバター、購入した商用アバターである可能性はありますが、それらは複数のユーザーが利用しているので見分けられます)直接話しかけて、気になることを質問すれば、確実に答えが返ってきます。(「答えたくない」含む)

その人のアバターの表現を目指している場合、自分のアバターと比較して何が足りていないかと聞けばより具体的なアドバイスを貰うことができます。

本やネットの記事のモデリング講座は広く一般に役立つよう、体系立った技術と知識を紹介しています。しかし細部のテクニックや自分の表現する題材にマッチした知識となるとそこには存在しないか探すのが大変です。

しかしVRChatで直接質問して得られるのは、そのような細部のテクニック、自分の目指している表現などの、活きた知識です。

体系立った知識が必要無いということではありません。ただそのようなものと比べて得がたい知識を得る手段としてVRChatは一つの答えになっています。

3Dモデラーは今すぐVRChatをはじめよう

3Dモデリングを勉強している人で、VRChatをまだ起動したことが無い人は今すぐVRChatをインストールしましょう。

ニコニ立体なんて、作品を上げたところで良くても門外漢に「スゴーイ」と褒められてそれで終わりです。創作の場として退屈なことこの上ないです。

VRChatで自作アバターを使っている人は皆あなたと同じで3Dモデルを学んでいます。より深く、刺激的な意見交換をすることができます。

あなたにとって、VRChatはおじさん女体化システムではありません。最新の3DモデラーSNSなのです。