VRChatパブリックログ

VRChatでの体験を紹介します

【VRChat紹介#1】VRChatって何?

VRChatって何?

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VRChatについて調べたとき、ヒットするのは明確にプロモーション目的の記事がほとんどです。

そのこと自体に問題はないのですが、実際に起動してみればそれらの記事の記述と実態は全く乖離していることにすぐ気づきますし、私が200時間以上プレイ*1した現在振り返ってもその感想はかわりません。

プロモーションなので将来の展望にピントが行っていたり、まれにしか起こらないような、あるいは起こそうとしないと発生しない状況を中心に描いているんですね。つまり大げさなわけです。

VRChatは名前の通りただのチャットアプリなので、実際には普通のことしか起こりません。

その「普通」を紹介した記事が意外とないなと思い、この記事ではVRChatの機能紹介を通して普通に紹介してみたいと思います。

 

 VRChatのしくみ

VRChatを利用する目的はユーザーにとって異なります。ワールドのカスタマイズによってはシステムが大きく変更される場合もあります。なのでここではあえて淡泊に、システム全体を俯瞰して捉えた像を説明しましょう。*2

画面構成

VRChatにログインすると、20畳くらいの近未来的な部屋が表示されます。

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これがVRChatの画面構成です。ESCキー押下でメニューが展開しますが、通常時はHUDが極限まで絞られたFPS視点(一人称視点)です。操作もWASDで移動なのでほとんどFPSゲームと同じです。(非VRで起動している場合)

メニューからはシステム項目の変更やカメラの呼び出し、フレンド一覧とワールド一覧などの機能にアクセスできます。

フレンド一覧とワールド一覧からは、任意のフレンドの居るワールド、あるいは任意のワールドへ瞬間移動することができます。

上の画面の状況では、プライベートな空間にひとりで居る状態なので、ほとんどのプレイヤーはまずここでフレンド一覧かワールド一覧を開いて特定の、あるいは不特定の誰かに会いに行くことになります。

チャットシステム

VRChatは大まかに捉えるとボイスチャットアプリです。アバターに特別なカスタマイズを施している場合を除き、テキストなどの入力や表示はできないため、ほとんどのコミュニケーションは声で行うことになります。

2018年7月現在VRChatには常時6000人程度が同時に接続しており、利用者はその全員と会う可能性がありますが、基本的には6000人が全て一堂に会することはありません。

これはボイスチャットのチャンネル(同時に複数人が接続できる回線)が定員数十人程度の細かい単位で区切られているためです。

これは一般的なチャットアプリ(SkypeやDiscord)と規模は違いますが同じです。

ただし、VRChatでこのチャンネルは「ワールドとインスタンス」そして「位置座標」で区切られています。

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ワールド「ファンタジー集会場」(パブリック)でチャットしている様子。

それぞれのアバター(キャラクター)の上にそれを操作しているプレイヤーの名札が表示されており、発言中は発言者の名札の右隣にメガホンのアイコンが表示される。

自分のマイクの入力状態は画面下部にうっすらとマイクのアイコンが表示されており、発声中に赤く点灯してしらせてくれる。

ワールドとインスタンス、そして位置座標

VRChatのボイスチャットチャンネルはワールドとインスタンス、そして位置座標で区切られていると説明しました。

ここでやっとここまで説明無しだった「ワールド」について紹介できます。

ワールドとはVRChat運営、あるいは一般ユーザーがデザインしたチャット用の3次元空間です。何も無い真っ平らな空間から上で紹介したファンタジー集会場のように中世の酒場のようなデザインの空間まで作者が自由にデザインしています。

プレイヤーはワールド作者がVRChatサーバーにアップロードしたもののうち、一般公開したものを自由に利用することができます。ワールド作者はワールドを一般公開せず、自分だけが利用できるようにすることもできます。

ワールドは最初のプレイヤーに利用されるとき、「インスタンス」というワールドのコピーを生成します。プレイヤーはこうしてコピーされた空間に入り、コミュニケーション用のチャンネルとして利用することができます。

VRChatのプレイヤーの間では、インスタンスとワールドは混同されたような形で認識されており、インスタンスについてほとんどの場合は意識しません。

インスタンスはワールドの定員と関連した機能です。

例えばワールド「ファンタジー集会場」は定員24人に設定されたワールドですが、そこを利用したい人が30人いたとします。インスタンスの機能がなければ6人のプレイヤーはファンタジー集会場を利用できないことになりますが、ワールドのコピーであるインスタンスはプレイヤーが自由に生成することができるので、残りの6人は新しいインスタンスを生成してファンタジー集会場を利用すれば定員オーバーに対応出来ます。

それぞれのインスタンスは完全に分断されており、インスタンスが違えば声はとどきませんし、姿も見えなくなります。デザインが同じだけの全く別の空間として機能するわけです。

さて、多人数でボイスチャットをした経験がある人なら想像がつくとおもいますが、ファンタジー集会場の定員24人はボイスチャットのチャンネルとしてはかなり人数が多すぎます。全員が発話してコミュニケーションする場合、せいぜい5人以下の小さいグループがうまれますが、このとき残りの人の声が邪魔になります。例えばDiscordやSkypeの場合、話題が錯綜したり発言が重なったりしてコミュニケーションが困難になってしまいます。

しかしチャットアプリではなく現実の空間、学校の教室などでそのような不便を感じることはあまりありません。音の性質上、近くの声は大きく聞こえ、遠くの声は小さく聞こえるからです。周囲がうるさいならば場所を変えれば問題は無くなります。

VRChatはこれがシミュレートされているので、周囲と違う話題の時はそこから歩いて移動することで自分たちの話題を展開できます。

これが位置座標によるチャンネル分けです。このチャンネルはワールド、インスタンス間の完全な隔絶とは異なり、歩いて移動することで行き来できるのが特徴です。大きく離れれば完全に聞こえなくなりますが、目の届く範囲ならかすかに声が聞こえるので、学校の教室や喫茶店のように、離れて会話している人たちの話題から連想してこちらの話題が進展する、といったような緩やかな繋がりを持っています。

特に会話の相手がいないとき、ファンタジー集会場を隅から隅までぷらぷら歩くことで聞こえてくる話題のうち、興味があるワードがきこえてきた一団に飛び入りで加わるといったこともできますね。

以上がVRChatの全てです。

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ワールド「1619Hz」にて。フレンドのアバターの頭の後ろから指を出して「ウーパールーパー

じゃあVRChatって何?

ここまで辛抱強く読んでくださった方にはイメージがつくと思いますが、俯瞰して見ればDiscordやSkypeなどと同等の、ただのチャットアプリです。

特別でユニークな体験をドラマチックに紹介している記事はたくさんありますが、それはVRChatの機能ではなく、記者あるいはその相手の個人的ポテンシャル(知識や芸など)によってもたらされたものです。

私はVRChatを「普通」のチャットアプリだと考えています。DiscordやSkypeよりもです。VRChatは現実のコミュニケーション空間をシミュレートしています。SkypeやDiscordでマウスやキーボードをぽちぽちしながら会話するのではなく、日常で人と人とが会話する感覚でコミュニケーションできるわけです。

そこには何の特別もありません。

VRChatは日常と全く同じ感覚で会話ができるという普通を提供するチャットアプリです。

 

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週末の深夜、月曜日に変身してフレンドを苛む人

 

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フレンドの新作アバターのおぱんつをスマホ型のカメラ(標準機能)でチェック、しかしスカートの中が一面肌色でざわつく

*1:私は2018年5月半ばにVRChatを利用開始しました。同時に3DモデリングとUnityの操作の勉強をはじめ、6月後半から自作アバターを使っています。VRシステムはViveを6月頭から利用しています

*2:ドラマチックな紹介は上記の通り出尽くしているのでね